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不倫がばれて脅迫されたら
浮気相手の配偶者に不倫がばれて、激情した相手の配偶者から、脅迫ないし恐喝のような対応をされる場合があります。
「今からお前の職場に乗り込んでやる」
「自宅に行って会社や家族にばらすぞ」
「慰謝料を払わないと痛い目にあうぞ」
等など、、、。
原則として、危害のおそれを告げて恐怖を感じさせる行為は「脅迫罪」となり、口止料として金品を提供させれば「恐喝罪」となります。
さらに、金品の提供がなかったとしても、金品の請求をした行為自体が「恐喝未遂罪」になります。
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不倫している人の配偶者(被害者)に不倫(加害)の事実を伝える等の、たとえ正当な事実の告知であっても、もっぱら相手を畏怖させて意思決定の自由を奪うことが目的で告げた場合には「害悪の告知」に該当し、脅迫罪になるとされています。
(最高裁 昭和29年4月6日 判決) |
要旨 「1 恐喝罪において、脅迫の内容をなす害悪は、必ずしもそれ自体違法であることを要しない。」 「2 他人の犯罪事実を知る者が、これを捜査官憲に申告すること自体はもとより違法でなくても、これをたねにして、犯罪事実を捜査官憲に申告するもののように申し向けてその他人を畏怖させ、口止料として金品を提供させれば、恐喝罪が成立する。」 |
なお、処罰の対象となるのは、相手が恐怖に感じる事実を告げたり、口止め料の要求をする行為であって、当事者間の合意によって取り交わす、事業の業務機密に関する「守秘義務契約」や、示談書(和解書)に定める「守秘義務条項」等は問題ありません。
トピックス
平成14年4月、東京都内の会社役員ら60人から総額2000万円以上の現金を脅し取った恐喝犯が逮捕されたという事件が、新聞各紙に報じられたことがありました。
この犯人は、民間信用調査機関の役員名簿や高額納税者のリストなどをもとに、首都圏の一部上場企業を含めた会社役員ら200人以上に対し、調査関係者の名を名乗り、「身辺調査で浮気の事実を確認した。証拠物件の廃棄手数料として現金50万円を振り込め。振り込まないと家族や近所、職場に公開する。」などとする手紙を送り、そのうちの3割が被害届けも出さずに素直に支払ったということですから驚きですが、いかに不倫をしている人の多くが、職場や家族などへばらされることを恐れているか、という見本のような事件です。
実際、度あるごとに30万だの、50万だのと要求され、総額で数百万ほど取られたというケースも多くあります。
ある事案では、最初は口止め料として、そのあとは慰謝料、さらには、ショックを受けたことによる精神科の通院費、そして、そのことが原因で退職したことによって失った給与数ヶ月分、などなど、次から次に名目を変えて請求され、職場や妻にばらされることを恐れて預貯金を使い果たし借金までして支払い続けてきたということで、その後、弁護士を紹介しましたが、すべて使い切ってお金が無いということで、残念ながら回収不能になってしまいました。
最終的には、弁護士を立てて訴訟で判決をとっても、資産や収入のない人からは、回収することは出来ないのです。
なお、不法行為者自ら積極的に、第三者に口止め料として支払った場合、その後仮に事実をバラされたとしても、「不法原因給付」であるとして、返還請求が認められない可能性があります。
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もちろん、不貞行為はいけないことですが、あくまで民事上の不法行為です。
それに対して、脅迫や恐喝というのは、立派な犯罪行為です。
ただし、不倫された配偶者というのは、大抵、自分の人生や家庭を滅茶苦茶に壊されたとして、強い「報復感情」を抱くことが普通であり、不倫相手に対して、威圧的な態度や非難罵倒をしたり、無理難題を突きつけてくることも珍しくはありませんし、ある程度はやむを得ない面もあります。
そのため、仮に形式上は「脅迫」ないし「恐喝」になるような言動であったとしても、そのような原因を作ってしまった以上、一般的な犯罪行為と同列に判断することは出来ません。
仮に警察に相談に行っても、原因を作った側ということから、その脅迫的な言動の部分のみを切り取って刑事事件として取り扱うことには慎重になりますし、下手に対抗しようとすれば、その相手からも、かえって謝罪や反省の意思が無いと受け止められ、話がこじれる場合がありますので、注意が必要です。
下手に、家族や勤務先にばれたら困るとか、相手を逆上させたくないとおそれ、その場しのぎで誤魔化したり、応答せずに無視したままにしてしまうなど、不用意に引き延ばしてしまうことで、かえって相手の神経を逆なでして話がこじれ、大きな問題に発展してしまうことがあります。
もしも脅迫または恐喝の被害を受けてしまった場合には、自分だけで処理しようと無理せず、早めに相談して頂くことをお勧めします。
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