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不倫の慰謝料請求権の時効

photo 不倫の慰謝料請求権についても、他の請求権と同様、一定の期間経過により時効が成立します。
原則として、慰謝料請求の時効は、損害および加害者を知った時から3年、および行為のときから20年です。
もっとも、そのカウントがはじまる起算点については、不倫の場合、不貞行為に対する慰謝料、不倫同棲に対する慰謝料、不倫によって離婚に至った慰謝料、など、いくつかありますので注意が必要です。


不貞行為に対する慰謝料請求権の時効の開始日

不法行為に対する消滅時効は、被害者が損害及び加害者を知った時から3年間、ただし不法行為から20年いない、とされています。

つまり、不倫相手に対する慰謝料請求権の時効は、不倫の事実および不倫相手を知ったときから3年、ただし不倫の事実があった時から20年以内、ということです。

ただし、不倫の事実と不倫相手を知った後も不倫を継続している場合には、不倫の関係が終了してからの時効進行となります。

民法第166条1項

消滅時効は、権利を行使することが出来るときから進行する。


民法第724条
(不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)

不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。


この場合の「加害者を知った時」というのは、現実に住所氏名を知り、請求することが可能になったときから、とされています。


最高裁 昭和45年7月15日 判決

要旨
「権利を行使することができるとは、一般に、権利を行使することについて法律上の障害がなくなったというだけでなく、権利の性質上その行使が現実に期待することができることを要すると解される。」


最高裁 昭和48年11月16日 判決

要旨
「民法724条にいう「加害者を知りたる時」とは、同条で時効の起算点に関する特則を設けた趣旨に鑑みれば、被害者に対する損害賠償が事実上可能な状況のもとに、その可能な程度にこれを知った時を意味するものと解するのが相当であり、被害者が不法行為の当時、加害者の住所氏名を的確に知らず、しかも当時の状況において、これに対する賠償請求権を行使することが事実上不可能な場合においては、その状況が止み、被害者が加害者の住所氏名を確認したとき、初めて「加害者を知りたる時」にあたるものというべきである。」



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不倫同棲に対する慰謝料請求権の時効

不倫相手と同棲したことによって離婚に至った、という事案の場合、時効には2種類があります。

(1)「不倫同棲」に対する慰謝料請求権

1つは、不倫によって配偶者の一方が、他の配偶者に対して有する貞操権を侵害されたことに対しての慰謝料請求であり、この場合には、不倫同棲の事実を知った時から消滅時効が進行するとされています。

最高裁 平成6年1月20日 判決

要旨
「本件は、被上告人の妻としての権利が侵害されたことを理由に、その間の慰謝料の支払を求めるものである。
夫婦の一方の配偶者が、他方の配偶者と第三者との同棲により第三者に対して取得する慰謝料請求権については、一方の配偶者が右の同棲関係を知った時から、それまでの間の慰謝料請求権の消滅時効が進行すると解するのが相当である。
この場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同棲関係が解消されるまでの間、これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は,同棲関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからである。」


※上記の判例によれば、不倫同棲に対する慰謝料請求権は、同棲が開始された時から消滅時効が進行する、ということになりますが、これは同棲するまでの分の不法行為が時効になるということであり、その後の不倫同棲に対する慰謝料請求とは別に考える、という趣旨になります。


(2)「不倫により離婚に至ったこと」に対する慰謝料請求権

最高裁 昭和46年7月23日 判決

要旨
「本件慰謝料請求は、YとXとの間の婚姻関係の破綻を生ずる原因となったYの虐待等、Xの身体,自由,名誉等を侵害する個別の違法行為を理由とするものではなく、Xにおいて,Yの有責行為により離婚をやむなくされ精神的苦痛を被ったことを理由としてその損害の賠償を求めるものと解されるところ、このような損害は、離婚が成立してはじめて評価されるものであるから、個別の違法行為がありまたは婚姻関係が客観的に破綻したとしても、離婚の成否がいまだ確定しない間であるのに右の損害を知りえたものとすることは相当でなく、相手方が有責と判断されて離婚を命ずる判決が確定するなど、離婚が成立した時にはじめて、離婚に至らしめた相手方の行為が不法行為であることを知り、かつ、損害の発生を確実に知ったこととなるものと解するのが相当である。
この場合に一方の配偶者が被る精神的苦痛は、同棲関係が解消されるまでの間、これを不可分一体のものとして把握しなければならないものではなく、一方の配偶者は,同棲関係を知った時点で、第三者に慰謝料の支払を求めることを妨げられるものではないからである。」


東京高裁 平成10年12月21日 判決

要旨
「第三者の不法行為により離婚をやむなくされ、精神的苦痛を被ったことを理由として損害の賠償を求める場合、右損害は離婚が成立して初めて評価されるものであるから、第三者との肉体関係ないし同棲の継続等を理由として離婚を命ずる判決が確定するなど、離婚が成立したときに初めて、離婚に至らせた第三者の行為が不法行為であることを知り、かつ、損害の発生を確実に知ったことになる」


東京地裁平成17年11月17日判決

要旨
「継続的な不貞行為により離婚をやむなくされるに至った一方の配偶者が損害賠償を求める上では、夫婦の離婚が成立した時に初めて、一方の配偶者の損害が確定し、これを損害として認識することが可能な状態となったというべきであるから、その消滅時効についても、少なくとも当該離婚の成立以後の時点において起算するのが相当である。」


※つまり、上記の3つの判例によれば、不倫同棲に対する慰謝料では無く、不倫同棲の結果として離婚に至ったことへの慰謝料請求権については、離婚が確定した時から消滅時効が進行する、ということです。



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